たとえ愛なんてなかったとしても
けれど今は良い時代だ。
専門家に弟子入りしなくても、どんなことでも、ネットである程度の情報は揃う。



「そうだ、先生に聞きたいことがあったんです。この縛りかた、先生なら何分かかります?」



横並びシートの個室で足を伸ばしながら、ビールに口をつけていると。

隣のレイナから無邪気な笑顔とは似合わないものを見せられて、思わず吹き出しそうになる。

 
スマホに写った、衝撃画像。
髪の毛のオシャレな縛りかたでも、新聞紙が縛られているわけでもない。

何が縛られているかを口にすると、色々な意味で追放されそうだ。


おいおい、食事中にどんなもの見せるんだと思ったけど、期待が込められた目で俺を先生と呼ぶレイナを失望させるわけにはいかない。



「俺なら、30秒だな」


「30秒!?わぁ、すごい!
やっぱり先生は違いますね!」



適当に答えたけど、そもそも物理的に30秒で可能なのか?

画像をじっくり見ても、何がどうなってこうなったのか分からない。というか、あまりじっくり見たいものでもない。

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