たとえ愛なんてなかったとしても
部屋に入って、冷たいお茶をもらって、少しは落ち着いたのもあり、ざっと昨日起こった事を二人に話す。



「それはひどいねー。
レイナちゃんのために、三日前にあれだけ練習したのにね?
それを披露することもできなかったなんてー」


「そんなことで怒ってるんじゃない!」



大人しく俺の話を聞いていた英俊が口を開いたので、何を言うかと思えば、とんでも発言だった。

確かに英俊には例の実技を三十秒で仕上げるための練習に付き合ってもらったが......。

レイナの好みだと思って練習したのに、それも無駄な努力だったというやつだ。



「でも良かったのかもねー。
結局三十秒でできなかったし。
ていうかさー、どう考えても三十秒じゃ無理じゃん?」


「あと一回か二回でできるはずだった!
それをお前がもう嫌だって根をあげたからだろ!」



話がずれていってることは自覚しつつも、できないと言われると意地でも言い返したくなる。

特に英俊に軽い調子で言われると、本気で腹が立つ。



「はぁ?なにいってんの?
明け方まで付き合ってあげたじゃん。

炎彬くんの練習に付き合ったせいで、一時間しか寝れなかったんだよ?
そのせいで、次の日、超眠かったのにさー」


「俺はその後、ぬいぐるみで個人練習したから、三十分しか寝てない!」
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