たとえ愛なんてなかったとしても
「あのー......、話ずれてってません?

何の練習か分からないけど、二人とも早く寝た方がいいんじゃないですか」



わけの分からない言い争いを続ける俺たちを見かねて、仲裁に入った俊輔の適切な指摘で、ようやく冷静になった。

英俊を付き合わせたことには間違いないし、練習してるよりも寝た方が良いのも違いない。

それでも、いつもの俺ならもっと言い返しているかもしれないが、今はそこまでして喧嘩する気力もなかった。
 


「でも、一体何の目的があったんだろうな」


「それ僕も思った。話くらい聞いてあげてもいいんじゃないのー?」



先ほどまで言い合いをしていたかと思えば、また黙り込むテンションの落差が激しい俺に、二人は首をかしげて。

それから好き勝手に色々言っていたが、どれも素直に聞き入れる気にはならなかった。

話の途中だが、もう帰ろうと立ち上がる。



「......炎彬さん?」


「帰る。お邪魔しました。
......また明日な」



今さら目的なんて知りたいとも思わないし、知ったところで何の意味もない。

どんな理由があったとしても、レイナは俺を騙していた、それだけだろ。
本人も認めている。 


わざわざそんなことするなんて、俺を陥れようとしてたか、それとも他に何かあるのか分からないが、とにかく良い方向にはとらえられない。

どう考えたって、もう信じようがないだろ......。















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