たとえ愛なんてなかったとしても
一番に入れたお茶は捨てるとか、一番のお茶が美味しいというのは、お茶の種類によって違うんじゃないかとも思ったけど、恥ずかしながらそれを説明できるほどの知識もない。



「ペットボトルのお茶しか飲まないんで、よく分からないですけど......。
少なくとも日本では、炎彬さんの言ってる意味で使う言葉じゃないですよ」
 

「分からないのに、よく間違ってるなんて言えるな。

だいたいどうして二番目に出た方が本家より劣ってるんだよ。

一番に出たものよりも試行錯誤を重ねて良いものにしようとする分、二番目以降の方が良くなる可能性が高いだろ」



丸パクリはまずいけど、元ネタに自分なりの工夫をしていればいいだろうし。

それが元ネタよりも良くなってる可能性だってなきにしもあらず、だ。

だけどさ、そういうことじゃなくて!
もう嫌だ、この人。



「それはまあ、時と場合によりますけど......。
......もういいです、それで。
好きなように捉えてください」



話している途中に、楽屋にあるモニターからエリックさんの弟のトニーのリハの映像が流れ。

それを見て急に、ドヤ顔で二番煎じがどうのこうの言ってる炎彬さんを説得するのが急にばかばかしくなった。


収録前だって言うのに、歌について話し合うならともかく、お茶の入れかたで言い合いしてる出演者なんて俺たちだけに違いない。
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