Daddy Long ....
お茶っぱを取り出して急須に入れる。ポットから熱湯を急須に、それを少し置いてから湯呑に注ぐ。
それを持っていくと、父はすでに新聞を折りたたみご飯を食べ始めていた。

特に何も言わず黙々と食べている様子を見て、文句はないようだと確認すると、今度は自分の支度にとりかかった。

洗面所に行き顔を洗って歯を磨き、胸ほどまである自慢の髪を梳かしてそれを三つ網にしていく。
自分の部屋に戻り学校の支度を終えてから、朝ご飯にありつく。
その頃には父は朝ごはんを食べ終えて、洗面所へと向かっていった。

何分もしないうちに玄関へと向かっていく。
私はご飯を食べながらそれを確認すると、箸をおいて慌てて玄関へと向かう。
父のカバンを用意して見送るのだ。

「い、いってらっしゃい。今日も帰りは…」
「いつも通りだ」

私に視線をよこさないまま靴を履いてカバンを受け取りそのまま家を出ていった。

こうしていつも私の朝は始まる。
どこで父の機嫌を損ねるか分からないので、父の一挙手一投足に気を使った。

何時だったか忘れたけれど、私の言葉遣いに起こった父が私を殴ったことがあった。
別に父を貶したつもりもなければ、我儘を言ったわけでもなかった。

それでも父は言葉遣いが悪いと言って何度も殴った。
それからというもの、私たちは親子であるというのに、私は父に対して敬語を使うようになった。

どこかで思っていた。
これで親子といえるのだろうかと。

それでも私には父しかいないのだ。
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