Daddy Long ....

母の両親は私が生まれる前に天国に行ったと聞いている。
一度も会ったことはないが、私に写真を見せてくれたことが一度だけある。

母に似て二人とも優しそうな笑顔で写っていた。
きっと生きていたら、母のような愛情を私に与えてくれたのではないか、そう思った。

父の両親は健在ではあるが、滅多に会うことはない。
車で片道6時間もかかる田舎に住んでいて、親戚の集まりで一度顔を合わせたことがある程度だ。ほとんど記憶にないが、父がそう言っていた。

年末年始、挨拶に行くということもほとんどなかった。

それには理由があって、父の両親、つまり私の祖父母は父と母の結婚を良しと思ってはいなかった。

酒に酔った父が、教えてくれたことがある。
父と母は学生のうちに結婚したと。

まだ大学生だった母のお腹に私が宿っていたというのだ。

結婚に反対していた祖父母も、お腹に子供が居ると分かって渋々承諾したそうだ。

だけどそれでもほとんど勘当されたようなもので音信不通の状態だったが、私が生まれたことを報告して、一度でいいから顔を見てやってほしいということで会いに行ったのが一度だけらしい。

祖父母の私を見つめる視線が憎々しげで、それを見た父と母は挨拶だけするとすぐに帰ってしまったという。
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