僕の気持ち 私の気持ち SS


「あの……その……。み、見てた」

うん、見てたの。
哲ちゃんを。

グラウンドで野球している哲ちゃんを見てたんだけど。
いなくなっちゃって。
落ち込んで。

そしたら、目の前に現れた?!

「なに見てたの? もしかして、おれ?」
「えっ?!」

そんな、ダイレクトな。

だけど、それはちっとも間違いじゃなくて。
むちゃくちゃ、図星で。
私は、思わず。

「うんっ」

なんて、頷いちゃった。

そしたら、哲ちゃんのおっきな手が私の頭をポンポンってして。

「俺も、毎日有希ちゃん見てた」





    おしまい



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