無題


何の為に進んでいたのか解らなくなって、シャンノは立ち止まる。


「ねぇ、お兄ちゃん。ママを知らない?
どこかに行っちゃったみたいなの。」


混沌の不協和音の中、顔を煤で汚したまだ6、7歳位の女の子がシャンノを見上げていた。


「知らない。」


ただそれだけ言って、シャンノはまた歩き出した。



「ふーん、そっか。あのね、」


歩き出したシャンノの後をトコトコと着いてきながら、少女は喋り出す。


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