無題

 するとどこからか、枝の折れる音と、8本の足が地を蹴る音と共に軽やかな足取りでスレイプニルが現れた。



艶やかな黒い鬣を自慢げに軽く振り、何度かその場で足踏みをする。



ブレて見えていたスレイプニルが次第に像を結ぶ。



「何か用か?」



 低く腹に響くような深みのある声がスレイプニルから発せられた。


< 6 / 47 >

この作品をシェア

pagetop