【完】結婚させられました!?
相変わらずマフラーを口元までぐるぐる
にして。
鼻先がちょっぴり赤いのが可愛かった。
「おはようございます……!」
「ん。今日も心優が温めて」
ニコッと挨拶すれば、そう言って手を差
し出されて。
その手に、ためらうことなく自分の手を
重ねた。
相変わらず、冷たい……。
「先輩、手袋買わないんですか?」
「買わない」
「なんでですか?」
あったほうが、私が握るよりもきっと暖
かいに決まってるのに。
すると、先輩は柔らかく微笑んで、私を
見つめた。
「心優の体温が直に感じられないから」
「……っ!」