【完】結婚させられました!?




相変わらずマフラーを口元までぐるぐる
にして。



鼻先がちょっぴり赤いのが可愛かった。



「おはようございます……!」


「ん。今日も心優が温めて」



ニコッと挨拶すれば、そう言って手を差
し出されて。



その手に、ためらうことなく自分の手を
重ねた。



相変わらず、冷たい……。



「先輩、手袋買わないんですか?」


「買わない」


「なんでですか?」



あったほうが、私が握るよりもきっと暖
かいに決まってるのに。



すると、先輩は柔らかく微笑んで、私を
見つめた。



「心優の体温が直に感じられないから」


「……っ!」






< 219 / 419 >

この作品をシェア

pagetop