【完】結婚させられました!?
だけど「なんで」と訊いても、自分で考
えなさいと誤魔化されるだけで。
腑に落ちないまんま、バレンタインデー
前日を迎えた。
2月13日は、日曜日だった。
日曜日で良かった、なんて思いながら、
朝早くからチョコレートの準備に取りか
かる。
今年はちょっと豪華に、ガトーショコラ
をつくってみようと計画してた。
そんなこんなでお菓子作りに没頭してい
ると、不意にリビングのドアが開いて。
「わ、甘っ!」
むせかえるような甘い匂いにビックリし
たのか、少し後ずさった音夜君が居た。
……その反応、ちょっと傷つくんですけ
ど。
「……おはよ、音夜君」
「おー、おはよ。……バレンタインデー
?」
キッチンの上に乱雑に置かれたガトーシ
ョコラの材料を見ながら、首を傾げる音
夜君。
それに、コクッと頷く。