【完】結婚させられました!?
本当は少しだけ、気付いていた。
北野は、本当は──……。
「なぁ北野、お前、もしかして───」
心のどこかで産まれていた疑問をぶつけ
ようとすれば、北野はニコッと笑って。
「私、もう行くね?愛してるよ、音夜♪
」
まるでそれ以上は言わせない。触れさせ
ないというように、そう言うと、去って
いき。
愛してるよ、なんて、自分の首を締めて
いるなんて知りもせずに言っているのか
、わざとなのか。
「不器用だな……」
あんなに器用そうなくせして、めちゃく
ちゃ不器用じゃん。
だからかな。
前よりかは、迷惑じゃなくなってるのは
。だって、北野は。
ちらりと裕太を見れば、何もわかってな
さそうな能天気さを相変わらず醸し出し
ていた。