そんなあなたは先生でした…(下)

コンコン

ドアを叩くと

「come on」

発音がいい女性の声。

「失礼します……」

中に入ると、クリスさんが椅子に座っていた。

「あなた、生徒だったのね…」

とりあえず座れと言われ、向かいにある椅子に仕方なく座った。

「率直に言うわ、陽と別れて」


言われると思ってた。

でも、

あたしは“はい”なんて簡単には言わない。

「嫌です」

「………あなたは生徒よ、
陽は教師なの。
わかるでしょ?」


わかってますよ、そんなこと。


「それに、あたしの方が似合ってるの。
あなたみたいなのはそこらへんのboyと遊んでいればいいの」


確かに、

クリスさんはどこから見ても最高のプロポーションの持ち主だし、
年齢や立場に置いてもそうかもしれない。


でも、


ここで負けるほどあたしは弱くない!!!



「負けません…、絶対に渡しません!」



「そう……。
あたしは忠告はしたわよ。
傷付いても知らないから…」



あたしとクリスさんは睨み合い、


クリスさんが先に目を反らしたのを確認してから

「失礼しました」


と部屋を出た。





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