恋愛指導は秘密のくちづけで
「お疲れ様」


かちゃん、とタイムカードを押した。


万里くんは何かいいたげそうに口をもごもごさせている。


「あんなキスをしても好きにならないんですか」


すれ違いざまに万里くんは低く小声でつぶやいた。


「疲れてただけだよ。それじゃあ」


後ろを振りかえず、前を向いて事務所をあとにした。


何を言ってもごまかしていることはわかっている。


こんなわたしを好きになるなんて。
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