唄を
その日の夜。

唄歌いは村外れにある、丘の上にいた。

唄歌いの頬を風がなぐる。
唄歌いは歌い始めた。

最初は小さく、そして、だんだんと大きく澄んだ音になっていった。

音が澄んでいくにつれて、風は弱まっていった。

唄歌いが歌い終わると風は消えていた。


唄歌いは、村の広場で夜を明かした。
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