俺が彼女を抱けない理由
『もしもし?』
『拓、すぐに病院に戻って』
沙希からの電話に俺は返事をすることもせず病院へと急いだ。
「おい拓っ!!」
親父の声にも止まる余裕はなかった。
積もった雪にハンドルをとられながらもアクセルの踏み込みは弱めない。
「拓こっち」
・・・葵?
葵の両親がベッドの横で泣いてるのが見える
・・・葵
「拓、早く!」
沙希の言葉に俺は足が震えた
「葵が拓の名前を呼んでるの!!」
「・・・えっ」
俺は葵の両親に背中を押され葵の横に立った。
目をつぶったままの葵。
「・・・葵」
「。。。。」
「・・・葵!!俺だよ。分かるか!?」
「葵、拓が横に居るよ!!目を覚まして!!」
沙希の声と俺の声が病室の中に響く。
「頼むよ。。目を覚ましてくれよ」
足に力が入らない
・・・葵
・・・頼むよ
「・・・た・・・く」
「葵!!」
確かに拓って聞こえた。
でも葵の目が覚めることはなかった。