俺が彼女を抱けない理由
ベッドに戻ろうとした俺をまた着信音が引き戻す。
覚悟を決めて電話に出る。
『。。。もしもし』
『あっもしもし拓?』
『うん』
『拓って今お父さんのとこにいるの?』
『あぁ』
『拓がそっちいってからお父さんから振り込みなくなったのよ。お父さんに頼んでくれない?お母さん生きていけないし。』
久しぶりに聞いた母親の口からは俺を心配するような言葉は一言もでなかった。
『あの男に養ってもらえよ。一緒にいるんだろ?』
『あの人も働かなくって。。。』
『切るよ』
『ほんとにあんたって冷たい子』
そう言って電話は切れた。でもこれ以上あの人と話をしていたら自分がどうにかなりそうだった。
冷たい子か。。。
気持ちをスッキリさせたくて顔を洗いに洗面台に行く。
そこの鏡に映った顔は誰からも愛されてない顔だった。
そしてまたテーブルの上の携帯が鳴っているのが聞こえた。