ベストマリアージュ
椅子を引いてくれた店員に促されて、優也の対面の席に腰をおろす。


さとしのために着てきた、私にしては珍しいシックな黒のワンピースが、ふわりと椅子を覆った。


「なんか今日、こないだより可愛い気がする

さとしと会うからお洒落してきたんだ?」


頬杖をつきながら、面白そうに私を見上げる優也は、悔しいけどほんとに綺麗だ。


加えてこないだよりも、なんていうか色気が増してるような……


ふわっと香ってくる香水らしき匂いも、甘くてセクシーなもの。


好きなわけじゃないのに、クラクラしそうになって、私は慌てた。


「い、一応、身だしなみとしてこのくらいはちゃんとしないとと思っただけです」


き、緊張する!


なんかすごく居心地が悪い。


やっぱり来るんじゃなかったと思っても、時すでに遅し、だ。


優也の方を見ないようにしながら、目の前にあったメニューを掴んでそれを穴が開くほど見つめた。


だってそうしていても、優也の視線が私を向いてるのがわかるんだもん。


「優也……さんは、なににするか決まったんですか?」


一応、友達じゃないし、さとしの先輩なわけで……


とりあえず、敬語でそう聞いた。


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