ベストマリアージュ
忘れない、と私は思う。


快感と切なさがないまぜになって、私をますます絶頂へと誘っていく。


彼もまた絶頂が近いのか、呼吸が荒くなっていった。


大地……愛してる……


口に出しては言えないけれど、私は絶頂を迎えると同時に、心の中でそう言い続けていた。


果てた後、大地は私の髪を遠慮がちに撫でながら、気まずそうに言った。


「珠美のことは愛してる……それは嘘じゃない

……ひどいことしてごめんな?」


裸で抱き合いながら、そんな残酷な言葉を聞かされる。


愛してるって言葉は一人に対してのものじゃないんだと知った。


そしてその愛してるの中にも優先順位があるんだと……


私は大地の中で二番目になってしまったのだ。


一番だった座はあっさりと奪われて、それと同時に妻であることも奪われた。


今度は彼女が彼の一番になり、彼に優しく触れられるんだ。


嫉妬の嵐は止むことはない。


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