ベストマリアージュ
そんなさとしの言葉が嬉しくて泣きそうになると、コツンとおでことおでこがくっつけられる。


「だいたい、お前がいい奥さんてたまかよ?

無理無理、有り得ねぇ」


そう言ってゴインと小さく頭突きされた。


「いったぁ……はぁ?私だってね!その気になれば、いい奥さんになれるんだから!」


おでこを擦りながらそう言えば、さとしはまたゲラゲラ笑いながら言い返してくる。


そっか、いい奥さんになる必要なんてないのかもしれない。


お互い、自然体でいられる唯一の存在なんだから。


私たちは私たちのペースで進めばいい。


言い方は微妙だけど、さとしの言わんとしてることが少しだけわかった気がした。


「さとし、私、頑張る」


「だから頑張んなくていいっつってんだろ?」


そんな会話を繰り返しながら、私はようやくネガティブな自分にさよならしなきゃと思えた。













END
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