ベストマリアージュ
あの売約済みって意味が、結婚するってことだったのを知ったのは、それから少ししてからだ。


ご丁寧に俺にもちゃんと招待状は渡されて『ご祝儀、楽しみにしてるから』とニヤリと笑ったさとしの顔が、子供みたいに勝ち誇ってて可笑しくなったっけ。


そんなさとしも可愛くて、切ない気持ちになったけど、その頃にはもう諦めはついてた気がする。


けど、あいつにしてやられた感じでなんだか癪だから、諦めたんだとは絶対に言ってやらないつもりだ。


フッと照明が落とされて、新郎新婦がいつの間にかお色直しに入っていたことに気づく。


二度目なんだろうにペパーミントグリーンのドレスに身を包んだ新婦が、さっきの黒から白のタキシードに着替えた新郎と共に入ってくるのが見えた。


各テーブルに設置された少し大きめのグラスに液体を注ぐと発光して幻想的な空間が出来上がる。


俺のテーブルにも二人が回ってきて、仲良くグラスに液体を注ぐのを見届けてから、俺はわざとさとしに聞こえるように言った。


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