ベストマリアージュ
「わかったわよ、美容院探してんの!

髪の毛切りに行きたいわけ、わかった?

どっかいいとこあるなら教えてよ」


なげやりにそう言えば、さとしは目を丸くした後、何かを思い付いたようにニヤリと笑った。


「な……なによ」


「お前さ、もしかして俺の職業知らねぇの?」


――職業?


こんなやつのことなんか、一ミリも興味ないから知るわけがない。


「なによ、急に……

知らないけど?

忙しくてあんまり休みがないって、お母さんが言ってたのは聞いたことあるけど……」


ふふふん、と鼻で笑ったさとしは、相変わらずの上から目線で私をを見下ろした。


「今からウチ来いよ」


「は?何言ってんの?

あたしの話、聞いてた?

これから美容院に行くって言ってんじゃん!」


怪訝な顔で噛みつくと、さとしはイラついたように私を睨み付ける。


「だから!俺が切ってやるって言ってんだよ!」


……は?


何?こいつ……ふざけてんの?


「絶っ対!やだ!

なんで素人に切ってもらわなきゃなんないのよ!

店知らないんなら、あたしもう行くから!」


< 51 / 307 >

この作品をシェア

pagetop