怖がりな兎さんとからかう狼さん
「まぁ、無理に言う必要もないな」
「言えといわれても、言う気はありません」

 あぁ、何もこんな態度をとらなくてもいいのに・・・・・・。

「話を戻すか。来週の月曜に弁当を頼むな」

 少し重くなっていた雰囲気がましになった気がした。

「わかりました」

 今度は何を入れようかな。こうして要求するってことは美味しいと思ってくれたからだろう。
 目の前の段差を越えようとしたとき、足を滑らせて、こけそうになった。

「わっ!」
「危なっかしい」

 私は海翔先輩の腕に支えられていた。

「あ、ありがとうございます」
「段差に気づいていてなぜ転ぶんだ?」
「滑らせて・・・・・・」

 情けない。恥ずかしいところを見せてしまった。
 鞄を拾い、歩き出した。公園が見えてきて、子ども達は飲み物を笑顔で飲んでいた。

「懐かしい」
「よく遊んでいたのか?」
「はい。ブランコに乗ったり、滑り台をしたりしていました」
「ブランコから降りようとして、さっきみたいなことにならなかったか?」
「失礼ですね。そんなことしませんでした」

 そう言ったが、あまり信じていないようだった。
 私はいつも通りに言葉でからかわれながら、海翔先輩と帰った。
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