~secret garden of flowers~

「囲まれてるって・・・」


言葉を繋げようとした次の瞬間、轟音と共に真っ黒な球体が耳元を通り過ぎて行った。


「今のは、なにっ!?」


<気を付けろ。来るぞ!>


そう言って飛び退いたシエルが茂みに向かって威嚇する。

私も、同じように目を向けるとガサガサと音を立てて男が一人現れた。

真っ黒いローブに身を纏い、前髪の間から僅かに見える瞳はダークグレー。


---違う・・・


私の両親を殺した男じゃない。


「こんな森の中に女がいるなんて俺達ってラッキー!!」


“俺達”・・・確かにそう言った。

でも、他の仲間の姿は見えないから散らばっているのかもしれない。

それならば・・・


<樹木の精霊ドライアード 彼の者達を魅了し 眠りの世界へ誘え(いざなえ)>


木に手を添えて詠唱を唱えれば、ゆらゆらと揺らぎ始めた樹木達。

周りの樹木も呼応して森全体に広がる。


「なっ、何なんだ!?」


ザワザワと葉や幹を震わせる樹木達の動きに合わせて、蜃気楼のような空間が現れると、それを見ていた男の瞼が下りてくる。


「くっ・・目を開けてられねぇ・・・・」


睡魔に抗う男だけど、ドライアードの魅了からは逃げられない。

そのまま、目を閉じると樹木が創り出した蜃気楼の中に取り込まれて行った───


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