ねえちゃん
翌日の日曜日。
ねえちゃんの用事は、買い物の荷物持ちでもなけりゃ部屋の模様替えの手伝いでもなかった。
「紹介するね。お付き合いしてる野島道雄さん。結婚しようと思ってるの」
ねえちゃんは連れてきた客を俺に向かってそう紹介した。
父さんと母さんは既に知っていたみたいで、驚いているのは俺一人だけだった。
「初めまして、貴文くん。郁実さんとお付き合いさせて頂いてます、野島です」
そう挨拶して生真面目そうに頭を下げたその人からは
いつか嗅いだバニラの匂いがした。