ねえちゃん
「道雄さんはね、御両親と一緒にベーカリーをやってるの。クリームパンが美味しくて有名なお店なんだから」
ねえちゃんは嬉しそうにそう話した。
野島道雄は人の良さそうな顔を更に綻ばせながら、そんなねえちゃんを見ている。
俺は半年前のあの日、ねえちゃんの機嫌がずっと良かったワケが今になって分かった。
「野島さんて、酒、飲まない人ですか?」
「あれ、よく知ってるね。そうだよ」
やっぱりね。
この人だったんだ。
酒豪の酔っぱらいを可愛くないと決めつけない人は。