二面相
暗い、夏の夜の仏間。


窓からは 一足はやい虫の声が 聞こえる。



私が 大地のことを話そうかと ためらっているうちに、息子は眠ってしまったようだ。



何とか、息子を 大地に逢わすことはできないかと、仏檀の 祖母の遺影を見ながら考えた。



自分の父に 一度も逢うことができなかった 私の父親は、祖母から伝え聞く父親像だけで、自分もそうなりたいと思い描いて生きてきたと 以前言っていた。




大地は 今、どこで どうしているのだろう。


高校生の彼を思い出して、いけないと思いながらも


恋しくなる。


眠れない私は、唯一、大樹を産んだ経緯を知っている、親友の 絢子にメールを送ることにした。


絢子は、話を聞くから、一度会おうと 返してきた。



絢子は、私と同じシングルマザーだ。

だが バツイチというだけ、私と違う。


彼女には 10歳になる一人娘がいる。


私がナースになる道を提案してくれたのも、当時同じく看護学生をしていた 彼女だった。



その週末、絢子と会う約束をした。




会うのは 彼女の子供の誕生祝いを渡しに行って以来。10年ぶりだった。

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