二面相
私と息子は その夜、久しぶりに枕を並べて寝た。



思春期の難しい時期に差し掛かる息子に 今まで父親のことを ひた隠しにしてきた。


きっと、息子は父親のことを 自分の中でいろいろ想像していたに違いない。


母が 語ろうとしないのは、それなりの男なのだろうと 悪いほうに考えていたのかもしれない。

だから、息子は兄の言葉に反応したのだ。
きっと嬉しかったに違いない。




そして、寝入ろうとする息子に問い掛ける。



「ねえ、大樹、柏木くんのこと、お父さんじゃないって、いつからわかってた?」



「……保育園のころからかな。

周りの子が、『パパ〜』って、お父さんのところにかけていくから、ボクもやってみたんだ。

そしたらね、柏木くんが、『僕は 大樹のお父さんじゃ、ないんだよ』って笑って言ったんだ。

悲しくて 今でも覚えてる」



大樹は下手に嘘をつかれるよりはよかったと、大人びたことを言った。



「そうだったの。ゴメンね、大樹。何も言わないで。知りたいこと、いっぱいあったでしょう?」


「うん。でも、怖かったから」


「知りたい?お父さんのこと」


「母さんが言いたくないなら、いいよ」



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