イジワルするのはキミ限定*
私、この人知らないんだけど…。
「野上 柚子様ですね?」
ジッとその人を見つめていると、形のいいその唇が私の名前を上げた。
「は、はい」
「佳人様があなたをお待ちしております」
「けいと、さま……?」
佳人様って一体だれだろうか。
そう思って首をかしげたとき。
「失礼いたします」
「きゃあっ!?」
その丁寧な言葉遣いと同時に体がフワリと浮いた。
昨日水沢くんにされたみたいなお姫様抱っこだ。
「お、下ろしてください!やだぁ!!」
「大人しくしていてください。大丈夫です。佳人様のもとへ連れて行くだけてますから」