イジワルするのはキミ限定*


「……知ら、ない?」



「うん。あのとき、とっさについたウソだよ。だいたい、僕とキミって全然接点なかったじゃん。逆にヒミツを知っているほうがおかしいよ」



「……ウソ?」



「うん。ウソついたんだ」



ごめんね、と水沢くんは謝罪を付け足した。



「……なんで、そんなこと」



そうまでして、水沢くんは、なにをしたかったの……?



「……さぁ。あのとき自分が、僕も分からない。ただ、キミに興味がわいたんだろうね」



「…………」



「まぁ、そういうこと。今までご苦労様。……今日限りでキミを、召使いから解放してあげるよ」



そう言い終えると、水沢くんは立ち上がった。



そしてドアの前に立つ私のところまでくるとーー……。



「じゃあね、野上さん」



< 218 / 350 >

この作品をシェア

pagetop