イジワルするのはキミ限定*
「……知ら、ない?」
「うん。あのとき、とっさについたウソだよ。だいたい、僕とキミって全然接点なかったじゃん。逆にヒミツを知っているほうがおかしいよ」
「……ウソ?」
「うん。ウソついたんだ」
ごめんね、と水沢くんは謝罪を付け足した。
「……なんで、そんなこと」
そうまでして、水沢くんは、なにをしたかったの……?
「……さぁ。あのとき自分が、僕も分からない。ただ、キミに興味がわいたんだろうね」
「…………」
「まぁ、そういうこと。今までご苦労様。……今日限りでキミを、召使いから解放してあげるよ」
そう言い終えると、水沢くんは立ち上がった。
そしてドアの前に立つ私のところまでくるとーー……。
「じゃあね、野上さん」