月下の誓約

 6.決意の証



 翌日正午に杉森国では国内随所に設置された拡声器より、国境の完全封鎖を知らせる警戒音が一斉に鳴り響いた。

 程なく、情報処理部隊より灘元浦部同盟軍が進軍を開始したとの情報がもたらされる。

 他国との通信回線が遮断されているため、少し遅れて東方砦に灘元の伝令が宣言文を携えて現れた。

 同盟軍の要求を聞こうともしないのは宣戦布告と見なし攻撃を開始するというのだ。

 進軍が開始されると具体的な部隊情報が次々と入ってくる。
 和成が事前の戦略案をまとめ終わると共に、軍議が開かれた。

 灘元浦部両国を合わせた国土はとにかく広い。
 同盟軍が前線に到達するのは、明日の昼過ぎになるだろう。
 杉森軍は明日早朝に出立し、布陣を整えて迎え撃つ。

 和成による戦略の説明が終わり、部隊長たちが各々の布陣と役割を確認すると、夕方に軍議は終了した。

 城内官吏の終業時間よりは早いが、明日早朝に出立しなければならないので、皆それぞれ帰宅する。

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