月下の誓約


 和成は無言で紗也を睨み、一歩下がってそのまま頭を下げた。


「怒鳴って申し訳ありませんでした」


 和成が顔を上げると、塔矢は紗也にも注意を与えた。


「紗也様も、あまり和成を挑発なさいますな」
「はぁい」


 塔矢の言葉には素直に返事をする紗也を見て、和成は少しムッとする。
 紗也が和成の言葉に素直に従った事などないような気がしたからだ。

 不満に思いながらも、問題の核心はそこではない。
 和成は気持ちを切り替えて、紗也に問い質した。


「理由をお聞かせください。どうして出陣なさるのですか?」


 紗也は机に両手で頬杖をついて、あっけらかんと言い放つ。

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