【完】うしろの席のオオカミさん
「……はいはい。分かった分かった」
静かに止まった自転車。
ぴょんっと飛び降りて、普通にまたがって座り直す。
荷台ってお尻が痛くなるんだよねー…
「いいー?」
「……うん」
大きくて広い背中。
襟がギリギリ学ランにつくぐらいの長さで、けっこう短く切ったんだなぁと今思った。
教室ではわたしが大上くんの前で、
大上くんがわたしの後ろ。
だから、こうやって後ろ姿なんてまじまじと見たことはなくて。
すごく新鮮に感じる。
なんだか別人みたい。