【完】うしろの席のオオカミさん
気づけば自転車の荷台に座ってて。
え?
今なにが起こったの?
この人、今わたしのこと抱き上げたよね。
どんだけ腕力あるの?
「おまえの家まで道案内しろ」
カラカラと音を立て自転車がゆっくりと進み出した。
「ちょ、ちょっと待って。横乗り怖い!普通に座りたいんだけど。いったん止まって」
「はぁー?どうせ降りたら逃げるんだろ?」
「逃げないからっ!」
真っ黒な背中。
その背中をバシバシと叩いて必死に止めるようお願いする。