【完】うしろの席のオオカミさん
きゅっと上履きの音がして、さっきよりもはっきりと聞こえる声に顔を上げた。
そこに立っていたのは水瀬くんだった。
「あ、こんにちは……?」
一応あいさつを。
後輩に告白されるとか……水瀬くんの知名度ごいなぁ。
「二人がつきあってるって本当だったんだね」
すぐ後ろで感じる大上くんの体温。
っ……!しまった。
こんなところ水瀬くんに見られるなんて。
慌てて立ち上がると大上くんがわたしの手を掴んだ。
振り返ることもなくそれを振り払う。
そんなに力は入っていなかったからか簡単に振りほどくことができた。