【完】うしろの席のオオカミさん
「ありがとう。でも、ごめん。俺好きな子いるんだ」
「そう、ですか……聞いてくれてありがとうございました」
今にも泣き出しそうな女の子の声。
パタパタと走って図書室から出て行ったその足音を聞きながらわたしは大上くんの手をはがした。
「ゴホッ…ゴホッ……」
「っ、大上くん!」
慌てて振り返ると予想してたよりも顔が近くて身体が固まってしまった。
やってしまいました、みたいな顔をしている大上くん。
女の子は図書室から出て行ったけど男の子の方はまだ残ってるはずだ。
お願いだからわたし達に気づかないで……!
「……え、及川さん…と大上?」