【完】うしろの席のオオカミさん




初詣


大勢の参拝者でにぎわう境内。

家族連れや恋人、友達同士でってのも多く見られた。



「お姉ちゃーん?迷子にならないでよー」


「大丈夫だって。あんたじゃないんだから」




さっきからなぜかずっとキョロキョロしてるお姉ちゃん。


誰かを探しているのだろうか。



前を歩くお父さんとお母さんの背中を見つめながらはぐれないよう一生懸命ついていく。


この人の多さはなんなんだろう。


除夜の鐘がものすごく近くで聞こえる。



マフラーもして手袋もして耳当てもして。
完全防備なわたし達。




「んー……梨菜どこにいるんだろー」


「え?なんか言ったー?」





お姉ちゃんにそう聞き返すとめんどくさそうな顔をされた。


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