【完】うしろの席のオオカミさん
引っ張られるがままに大上くんのあとをついていく。
わたし、行くなんて一言も言ってなーい!
「日向子のお姉さんは何飲むん?」
明るく光る自動販売機の前、並んでいる飲み物をじーっと見つめる。
「ミルクティーかな」
ポケットの中から小銭を出して入れる。
近所の神社だったから歩きで来てるわけで、すぐ帰ってくるだろうと思いお財布も鞄もなにも持ってきてない。
携帯と何百円かのお金。
「日向子はココアだろ」
ミルクティーを取り出して今度は自分のを買おうとしたら大上くんが先にお金を入れてココアのボタンを押していた。
視線をあげると大上くんは早く取れよ、取り出し口を見ている。