【完】うしろの席のオオカミさん
大上くん、なんでわたしがココア好きだってこと知ってるんだろ。
ただの勘とかかな?
「ん、お金」
わたしのココアの分を大上くんに返す。
けど、なかなか手を出してくれない。
さっき買った缶はコートのポケットに入れてあるから両手は空いてるはず。
なんで受け取ろうとしないの?
「いらん」
「わたしが嫌なの。早く手出して!」
………。
あぁ、そうですか。そうやってするんだ。
「ちょ、はっ?」
コートのポケットに手を突っ込んでお金をその中に入れた。
慌ててる大上くんが少し可愛くて小さく笑ってしまった。
……って、なんだこの和みムードは。