【完】うしろの席のオオカミさん
足を止めて突然振り返った大上くんにつられて足が止まる。
黒髪の大上くんって見慣れないな。
すごい違和感が……
「日向子ってチャリ通だっけ」
「……うん」
返事しようかちょっと迷ったけどしつこく聞かれるのも嫌だから適当に返す。
大上くんって前から分からない人だなとは思ってたけどさ
改めて思うよ。
ほんとなに考えてるのか分からない。
「家どこにあんの?」
「……駅の向こう側」
今日はなんでこんなに質問してくるのよ。
下駄箱を開けてローファーを取り出し上履きを適当に突っ込む。
早く帰りたいんですよ、わたしは。