【完】うしろの席のオオカミさん
大上くんはふっと笑うとわたしから視線を外して自転車のベルで遊び始めた。
このピリピリムードには全くあわない甲高い音にピクッと頬がひきつる。
……ねえ。
人の話真面目に聞こうとは思わないんですか?
「なんで……って聞かれてもねぇ」
「……もういい。大上くんと話してると日が暮れる。チャリ返して」
降りるよう促しても全く動かない大上くん。
あーもう!イライラしてきた。
なんなのよ、この人は。
無理やりにでも降りてもらおうかな。
突き飛ばしていいかな。
「……好きなやつと話したいって思うのは普通だろ?」