【続】隣の家の四兄弟

「怒ってないよ。ちょっと動揺しただけ。だからそんな声出さないで」
「……ほんと?」
「ほんと!」


まるでおっきな子どもだな。
ああ、孝四郎くんと逆みたいな? 孝四郎くんは、見た目が幼くて可愛いけど中身が大人過ぎるほど大人だし。
チハルは、見た目が……仕事のときは特に、大人びてるのに、中身がこれだもん。

そんなことを思って見てると、ぱっと顔を上げたチハルが、満面の笑みで私に抱きつく。


「よかったー!ミカに嫌われたと思ったー」


うぇっ……⁈ ちょ、そーいうのが“困る”の代表なんスけどっ‼


「ちょっ……!」


いやでも、これ。こーいうの、イタリアでは日常茶飯事なのかな?だとしたら、頭ごなしに怒るのってナシ?
このくらい受け入れて、私が慣れるべき……?


暫しチハルに抱きつかれたままフリーズする。

…………いやっ!いやいや!待て!
ココはニッポンでしょーがっ!


意識が回復して、チハルの胸の中で手を突っ張ろうとした矢先ーーーー。


「ちょ‼ ぅおいっ!なにしてんだよ、チハル‼」


横から聞こえた声に、ドン、とチハルを突き放した。

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