【続】隣の家の四兄弟


「おはよう」
「あ、おはようございます」


朝は決まってお隣さんに会う。

それは大抵長男の浩一(こういち)さん。


「天気いいね」
「本当に! 気持ちいーです」


今日の天気のようにぽかぽかと、穏やかな笑顔の浩一さん。
とってもとっても素敵な人。

私たちはエレベーターを共にして、玄関を出たところで別れる。


「じゃあ、行ってらっしゃい。気を付けて」
「浩一さんも!」


にっこり笑顔で手を振られると、今日一日すごくいい日になる気さえしちゃう。

大人で、優しくて、家事もできて。
絶対に女の人はほっとかないよ!

だけど未だに―――


「信じられない…」


その浩一さんの小さくなる背中を見つめながらぼそっと口にした。

過去―――といっても、数日前。
あんな人が、私を好きだと言ってくれたなんて!

ああ。
私が二人いたらな…。

なんて、冗談だけど思ってみる。


「思っただけ!思ってみただけ!!」
「何を?」
「ひゃあっ!!」


一人芝居のようなことをしていた私の背後から声が聞こえて悲鳴をあげる。





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