【続】隣の家の四兄弟
アキラと二人きり。
まともに話したこともないのに、いきなり二人きりになんて、構えてしまうのは仕方ないよね……?
それに、唯一話をした記憶っていうのが、つい最近の〝あれ〟――。
「へぇ。同じマンションでも隣とはまた違って感じるものね」
リビングを見渡してアキラが言った。
カバンをドサッと端に置いて、そのままキッチンに入り、手を洗ってからお茶を入れる。
それをアキラに差し出すと、「ありがとう」と小さな声で返された。
アキラはグラスをテーブルに置いて、ソファに腰をかけた。
……なんだろう。
聖二がいなくて、仕方ないから私の家って、一体どういう……。
窺うような視線をアキラに向けていると、ちらりとこちらを見られたときにばっちりと目が合ってしまった。
「あ……」
うわーん、私のばかっ!
目が合ったって、別になんにも言わずに逸らすなりなんなりすればよかったのに!
変に反応しちゃったら余計に気まずいじゃん!!
心の中で、数秒前の自分に嘆いていると、盛大な溜め息が前方から聞こえてきた。
「本当、わかりやすい人」
「えっ」
「別に責めたり罵ったりなんかするつもりないわよ」
半分呆れ気味に吐き捨てられると、なんだか申し訳なく思えてしまって肩を窄める。
「この前言ったこと。あれは謝る気なんかないから。だって、本当にそう見えてたんだもの。二人が一緒に笑い合うようなところ、なかったし」
ツンとした態度のアキラに拍子抜けする。
……いや、だって。
そこは普通、『勘違いしてひどいこと言ってごめんなさい』とかなんじゃ……?
ぽかんとしたままの私を見上げたアキラは、綺麗な足を組んでぼふっと背を預ける。
そしてちらっと私を見て、ぼそりと言った。