【続】隣の家の四兄弟

アキラを呼んだのは美佳。
そして、それを受けたアキラも口では文句を並べつつ、美佳の隣に座って手助けしてる。

俺は狐につままれた気持ちでぽかんと眺めていると、横からトレーを持ったアニキが突然声を潜めて言った。


「驚いただろ。今日はアキラちゃんに英語みてもらってたみたいだぞ?」
「アキラに……?英語を……?アイツが??」


まるで意味がわからん。
なんで突然そうなるんだ?


頭が混乱させていると、アニキがものすごくおかしそうに笑って向かいに座った。


「不思議だな。だけど、そういう魅力にアキラちゃんもなんとなく感じてあんなふうになってるんじゃないのかな」


頬づえをついたアニキは優しく目を細めながら、美佳とアキラを見ながら呟いた。




「わたし明日も仕事なの。もうそろそろ帰るわね」


夜の10時になりそうな頃、アキラが突然そう言って立ち上がる。
シャワーを浴び終えた俺に近づくと、見上げながらアキラは言った。


「ねぇ、セイジ。少しそこまで送ってくれる?」
「……」
「風邪ひいちゃうし、ほんの少しでいいから。ね?」


風邪引くとかそんなことよりも、断る理由はほかにあった。
ちらっと視線をその〝理由〟に向けると、初めからこっちに気付いていたようで、美佳は軽く二度頷いた。

小さく溜め息をつくと、パーカーを着て玄関へと向かう。


「駅までな」


そうしてアキラと二人で外に出た。
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