【続】隣の家の四兄弟


「ミナトって面白いね」


私が挨拶して帰ってくるときに、「じゃあぼくも」と、チハルも一緒に帰ってきた。

昨日までほとんど一人きりだった家に、誰かと帰ってきて、ずっと一緒だなんてなんかヘンな感じ。

リビングのソファにストン、と座ったチハルが三那斗を思い出して笑ってる。


「コウやセイジとは全然違う性格で、楽しかったなぁ」


――まぁ確かにね。

三那斗は突出して他の3兄弟とは違うタイプかも。

大体“ババ抜き”であんなに真剣になれて、負けず嫌いも発揮しちゃうんだから。

帰る間際まで、「チハル! 勝ち逃げする気か!」ってうるさかったしな。

ぎゃーぎゃー三那斗がうるさくて、バタバタ帰ってきたから聖二とはなにも言葉を交わしてない。

でも――――。


私はキッチンに目を向け、携帯をギュッと握る。

今日、あいつがここにきて、腕を掴まれて、流水で冷やして。
それで、番号も交換できた。

発信履歴に確かに残ってる番号。

そんな小さなことでも、すごく嬉しくてニヤけちゃう。


「夢じゃない……」


小さく笑っていつもの独り言――――。


「夢? なになに?」
「わっ!」


いつの間にか私の目の前に来ていたチハル。

そ、そうだった! 私、今一人じゃないんだよ!
うっかり口から出しちゃった!


「な、ななななんでもない!」


明らかに怪しい返しをした、と、自分でも思う。
チハルはニッと笑って、私が手にしてる携帯をみた。


「コレかー。なに? セイジ?」
「ちっ……ちが!」


――わない、んだけど。

私は携帯を後ろに回して、頑張って平静を取り戻そうとした。


「よし。決めた。ぼくも!」
「は、はい?」


ち、近いんですけど……。
もうちょっと、距離をとってくださいませんか……?


私が仰け反るような姿勢でチハルを見つめると、チハルは離れるどころか私の手を握って笑顔で言った。


「Io andrò domani!(明日行こう)」
「へ?」
「ああ、ごめん。ミカ、明日一緒にいい?」


は?! 日本語で言いなおされても全っ然意味わかんないんですけど!



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