製菓男子。
「こういうのって、月曜日じゃなきゃ平気なの?」


わたしの隣に並んでいた塩谷さんは、角に消えたヒロくんを見続けるように、視線を動かさないで訊いた。


「こういうのって?」


粘り気のある汗が背中に流れたのは妄想だけれどそんな感じで、心臓が冷える。
今まであたたかい気持ちでいたから、その温度差で風邪を引いてしまいそうだ。


「“未来が見えること”って言ったら、怒る?」


少しは空気を読んで欲しかったなぁと地面に落ちてしまった視線をもとに戻す。


(聞いて欲しくないからとぼけたのに)


見上げた塩谷さんの顔は予想外にもメープルシロップのような甘い笑顔をしていて、どきんと心臓がしゃっくりをした。
笑顔の種類が豊富な人だなと、改めて驚いてしまったからかもしれない。


「俺はさ、」
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