製菓男子。
掃除の分担は藤波さんが働き出した四月から三つにわけている。
僕は二階の教室で、ミツキは厨房、藤波さんは販売スペースと店周り。
自分の分担が終わり次第、ほかのところを手伝うことになっているのだが、大概藤波さんのところが遅い。


三時頃に閉店すると大掃除をする。
いつも以上に入念に床や窓を磨いて、徹底的に掃除する。
四時頃だと日常の掃除。
五時だと先にミツキは事務作業を僕は翌日の準備をすることになっている。


藤波さんは線が細い身体つきをしていて、色が白い。
肌が弱いそうだから外掃除をするときは、隙間ができないようにぴっちり服で素肌を覆っている。
今の季節はまだいいだろうが、夏場は大変そうだ。
もっと僕たちがおいしいお菓子を焼いて、閉店時間をせめて四時までにしたい。
そして掃除を手伝えるといいのだけれど。


お客さんにとっては迷惑な話かもしれない。
もっと量を焼けば売り切れるということはないし、食べ損なうこともない。
きっちり、決めた閉店時間を守れる。
けれど僕たちは、特に僕は、作るペースを乱したくない。
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