ミリオンラバー
柚羽としては美月の弟ではなく、小暮明人の好物という意味で選んだから揚げだ。

そういえば美月さんの弟、同じ学校って言ってたな。

ここまできても、鈍い柚羽はその可能性に気がつかなかった。

「そうだ美月。明人君来てるよ」

唐突にしんちゃんが告げた。

「うそ。明人が?どうして?」

「喧嘩したのかな。顔中腫れててさ。今二階にいるから。」

「あいつ…!喧嘩すんなっていったのに!柚羽ちゃんごめんね、ちょっと待ってって」

そういうと美月はエプロンをつけたまま二階へと駆け上がった。

「明人…?」

「美月の弟だよ」

うそ。明人ってまさか。

ここに来てようやく柚羽は気がついた。

そして、そのまま美月の後を追った。

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