ミリオンラバー
大げさなことを言いながら彼は柚羽の手を握った。

「しんちゃんったら大げさよ」

美月はくすくす笑った。

一方しんちゃんと呼ばれた彼は、今にも泣き出しそうな顔で、まだ柚羽にありがとうありがとうと言っていた。

「ごめんね柚羽ちゃん。こんなのほっといていいから。」

勢いに押された柚羽は黙って頷いた。

「柚羽ちゃん何か好きなものある?」

「好きなもの、ですか?」

カウンターの奥に入りエプロンを腰に巻きながら美月が聞いた。

「そう。お礼に作るから」

「あ!から揚げ!から揚げ食べたいです!」

「へえ。から揚げか。うちの弟と同じだ。オッケーちょっと待ってってね」

へー美月さんの弟もから揚げ好きなんだ。


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